成年後見制度
ここでは成年後見制度について、ご説明いたします。
認知症、精神障害、知的障害などによって判断能力が不十分とされる方々は、預貯金や不動産などの財産管理はもちろん、介護施設への入所時の契約、遺産分割の協議等をご自身で行うことは困難である場合がほとんどです。
このような場合には成年後見制度を利用して、後見人に各種手続きを代行してもらいます。
成年後見制度とは、認知症、精神障害、知的障害などにより判断能力が不十分である方の保護や支援を行うことを目的としており、家庭裁判所に申立てをすることで、家庭裁判所が後見人を選任します。後見人には第三者が選任される場合もあります。
では、実際にどのようなケースで成年後見制度が利用されているのか、以下に例を挙げてご説明いたします。
介護施設に入居をしたいが本人が認知症を患っている
ご高齢になり、ひとりで生活するのが困難となった場合や、ケガなどをして一時的に老人ホームや介護施設等への入居を検討される方は多くいらっしゃいます。
施設探しはご高齢の方にとって一苦労な作業となりますが、認知症を患っている方の施設探しはそもそも不可能に近い作業といっても過言ではありません。また、なんとか施設が見つかったとしても、入居金調達のための準備についてあれこれ考え、工面しなければならないかもしれません。
このように、生活していくうえで判断を迫られる場面は多くあります。
後見人は、これら生活にかかわる重要な手続き等をご本人に代わって行うことが可能です。
相続人の中に認知症を患う方がいる
ご家族が亡くなると、亡くなった方の財産は相続人全員の共有の財産となるため、相続人が複数いる場合は全員で分割するための遺産分割協議を行うことになります。
遺言書がある場合は遺言書の内容に沿って遺産の分割を行えばいいのですが、遺言書のない相続では相続人全員が参加をして話し合いを行います。
しかしながら相続人の中に判断能力が不十分とされる認知症等の方が含まれる場合、法律行為である遺産分割協議には参加することはできません。
このような場合には成年後見制度を利用し、家庭裁判所より選任された後見人がご本人に代わって遺産分割協議に参加し、遺産の分割方法について協議します。
認知症は誰でもなりうる症状です。もしもの時のために、お元気なうちから生前対策をされることをおすすめいたします。